○蔵王町自然環境等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例
令和5年9月6日
条例第27号
(目的)
第1条 この条例は、蔵王町の豊かな自然環境や美しい景観及び安全・安心な生活環境(以下「自然環境等」という。)の保全と再生可能エネルギー発電事業との調和を図るため、再生可能エネルギー発電設備の設置に関して、必要な事項を定めることにより、潤いのある豊かな地域社会の発展に寄与することを目的とする。
(1) 再生可能エネルギー源 エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律施行令(平成21年政令第222号)第4条に規定するものをいう。
(2) 再生可能エネルギー発電設備 再生可能エネルギー源を電気に変換する設備及びその附属設備(送電に係る電柱等を除く。)をいう。
(3) 事業 再生可能エネルギー発電設備を設置する事業(立木の伐採、掘削、盛土その他土地の形状の変更を伴う工事及びその事業を目的とした土地に関する権利の移転等を含む。)及び当該設備による発電を行う事業をいう。
(4) 事業者 事業を計画し、又はこれを実施する者をいう。ただし、国及び地方公共団体を除く。
(5) 事業区域 事業を行う一団の土地(再生可能エネルギー発電設備に附属する管理施設、変電施設、緩衝帯等に係る土地を含む。)の区域であって、柵、塀等の工作物の設置その他の方法により当該一団の土地以外の土地と区別された区域をいう。
(6) 行政区 蔵王町行政区長に関する条例施行規則(令和2年蔵王町規則第17号)第2条に規定する区域をいう。
(7) 地域 事業区域を含む行政区及び事業の実施により、自然環境等に一定の影響を受けると認められる行政区をいう。
(8) 住民等 地域内に居住する者並びに所在する法人及び団体並びに地域内に土地又は建築物を所有又は使用し、事業の実施により影響を受けると認められる者をいう。
(9) 土地所有者等 事業区域の土地の所有者、占有者及び管理者をいう。
(基本理念)
第3条 本町の豊かな自然環境、美しい景観及び安全・安心な生活環境は、町民の長年の努力により、守り育てられてきた町民共通のかけがえのない財産であり、現在及び将来にわたってその恩恵を享受し、持続可能な未来を継承できるよう、町民の意向も踏まえて、その保全及び活用を図るものとする。
(町の責務)
第4条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に則り、この条例の適切かつ円滑な運用を図らなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、関係法令及びこの条例を遵守し、本町の豊かな自然環境、美しい景観その他安全・安心な生活環境に十分配慮し、住民等との良好な関係を保持し、かつ、地域振興に寄与するよう努めなければならない。
2 事業者は、自然環境等を損ない、災害による被害等が発生しないよう、再生可能エネルギー発電設備及び事業区域を適正に管理しなければならない。
3 事業者は、事業で発生する廃棄物を適正に処理するとともに、事業を廃止しようとするときは、再生可能エネルギー発電設備を速やかに撤去し、及び適正に処分し、並びに事業区域に係る土地を原状に回復しなければならない。
(町民の責務)
第6条 町民は、基本理念に則り、この条例に定める手続の実施に協力するよう努めなければならない。
(土地所有者等の責務)
第7条 土地所有者等は、基本理念に則り、事業により、自然環境等を損ない、又は災害の発生を助長するおそれのある事業を行おうとする事業者に対し、当該土地を使用させることのないよう努めなければならない。
2 土地所有者等は、事業により、自然環境等を損ない、又は災害若しくは生活環境への被害等が発生することのないよう、事業者に対して当該土地を適正に管理するよう求めなければならない。
(適用を受ける事業)
第8条 この条例の規定は、再生可能エネルギー発電設備の出力の合計(以下「発電出力」という。)が10キロワット以上(既に設置された再生可能エネルギー発電設備を増設することにより、発電出力が10キロワット以上となる事業を含む。)の事業に適用する。ただし、太陽光を再生可能エネルギー源とする事業で、次に掲げるものについては、この限りでない。
(1) 建築物の屋根又は屋上に設置する事業
(禁止区域)
第9条 町長は、土砂災害その他の災害が発生するおそれが極めて高いと認められる区域について、規則で定めるところにより、禁止区域を指定する。
2 事業者は、禁止区域を事業区域に含めてはならない。
(抑制区域)
第10条 町長は、災害の防止又は良好な自然環境、景観、歴史的・文化的価値、森林若しくは農地等の保全のために配慮が必要と認められる次に掲げる区域について、規則で定めるところにより、事業者に対し、事業の抑制を求めることができる区域(以下「抑制区域」という。)を指定する。
(1) 豊かな自然環境が保たれ、地域における貴重な資源として認められる区域
(2) 特色ある景観として良好な状態が保たれている区域
(3) 歴史的又は文化的な特色を有する区域として保全する必要がある区域
(4) 人々が自然と触れ合う活動の場として良好な状態が保たれている区域
(5) その他町長が必要と認める区域
2 事業者は、抑制区域を事業区域に含めないよう努めなければならない。
(住民等への説明等)
第11条 事業者は、事業を実施しようとするときは、次条第1項の規定による協議の届出を行う前に、住民等に対し、事業の内容等に関する説明会を開催しなければならない。
2 事業者は、次条第2項の規定による変更の協議を行う前に、住民等に対し、事業内容等の変更に関する説明会を開催しなければならない。ただし、事業内容等の変更が規則で定める軽微なものについては、この限りでない。
3 住民等は、説明会を開催した事業者に対し、事業の内容等について意見を申し出ることができる。この場合において、事業者は、意見に対する見解を記載した書面を作成し、住民等にこれを交付の上、当該住民等と誠意をもって協議しなければならない。
4 地域は、事業の実施に当たり、第1条に規定する目的を達成するために必要な事項について、事業者に協定の締結を求めることができる。
5 事業者は、前項の協定の締結を当該地域から求められたときは、協定を締結し、速やかに当該書面の写しを町長に提出しなければならない。
6 事業者は、届出を行うまでに、住民等の理解が得られるよう努めなければならない。
(協議の届出)
第12条 事業者は、事業の実施について、当該事業に着手しようとする日の90日前までに、町長に届け出て、協議しなければならない。
2 事業者は、前項の規定により、協議した事項を変更しようとするときは、速やかにその旨を町長に届け出て協議しなければならない。
(同意)
第13条 事業者は、町内において事業を実施しようとするとき、又は実施している事業を変更しようとするときは、町長の同意を得なければならない。
3 前項ただし書の規定により、禁止区域又は抑制区域内において再生可能エネルギー発電設備を設置しようとする者は、各種法律等に基づき許認可、承認等を得るとともに、本条例の規定を遵守するよう努めなければならない。
4 町長は、同意に際し、自然環境等の保全及び災害防止のために必要な条件を付することができる。
(審査及び協議結果の通知)
第14条 町長は、第12条に規定する届出があった場合は、審査を実施し、必要に応じて、規則で定める再生可能エネルギー発電設備設置協議会の意見を聴取することができる。
2 町長は、協議が終了したときは、事業者に協議結果を通知するものとする。
3 町長は、必要に応じて、前項の通知に自然環境若しくは景観の維持又は災害若しくは生活環境への被害等の発生の防止のために必要な条件を付すことができる。
4 事業者は、前項に規定する条件について、必要な措置を講じ、その結果を町長に届け出なければならない。
(事業の着手等の届出)
第15条 事業者は、事業に着手、完了、中止、又は再開したときは、速やかにその旨を町長に届け出なければならない。
(事業の確認)
第16条 町長は、前条に規定する完了の届出があったときは、この条例の施行に必要な限度において、事業者に対して資料の提出を求め、職員に事業区域に立ち入らせて確認するものとする。
(地位の承継)
第17条 事業者から事業の譲渡、相続、売買、合併又は分割によりその地位を承継した者は、承継の日から30日以内に、規則で定めるところにより、その旨を町長に届け出なければならない。
(事業区域の適正管理)
第18条 事業者は、事業を実施している間、自然環境及び生活環境への被害又は災害が発生しないよう事業区域を適正に管理するとともに、事業に係る保守点検及び維持管理の実施について、年1回町長に報告しなければならない。
(災害及び事故発生時の対応)
第19条 事業者は、事業区域内における災害又は当該災害に起因する自然環境及び生活環境への被害が発生するおそれがあると認められるときは、速やかに現地を確認し、早急に必要な措置を講じるとともに、住民等に周知し、町長に通報しなければならない。
3 事業者は、事業の実施に伴い事故等が発生したとき、又は住民等と紛争が生じたときは、自己の責任において誠意をもってこれを解決し、再発防止のための措置を講じなければならない。
(事業の廃止)
第20条 事業者は、事業を廃止したときは、規則で定めるところにより、速やかに町長に届け出なければならない。
2 事業者は、事業を廃止したときは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号)その他の関係法令に基づき、再生可能エネルギー発電設備その他当該事業に用いた設備等を速やかに撤去し、適正に処理しなければならない。
3 事業者又は土地所有者等は、事業廃止後に残された施設について、災害又は生活環境への被害等が発生することのないよう適正に管理するとともに、当該事業区域に係る土地を原状に回復しなければならない。
4 事業者は、事業廃止後に前項に規定する対策を速やかに講じるため、必要な資金の確保に努めなければならない。
(報告及び立入調査)
第21条 町長は、必要に応じて事業者に対し、報告及び資料の提出を求めるとともに、職員に事業区域への立入り及び当該事業に関する事項の調査をさせるものとする。
2 前項の規定による立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入り及び調査の権限は、これを犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(助言、指導又は勧告)
第22条 町長は、必要があると認めるときは、事業者に対して、必要な措置を講じるよう助言又は指導を行うことができる。
2 町長は、事業者が次の各号のいずれかに該当すると認められるときは、当該事業者に対し、期限を定めて必要な措置を講じるよう勧告することができる。
(1) 第12条の規定による協議をしない、又は虚偽の協議をしたとき。
(2) 第13条第1項の規定による同意を得ずに事業に着手したとき。
(3) 前条第1項の規定による報告又は資料の提示を怠ったとき。
(4) 虚偽の報告又は資料の提出をしたとき。
(5) 立入調査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
(6) 質問に答弁せず、又は虚偽の答弁をしたとき。
(7) 事業が自然環境及び生活環境に重大な影響を与えるおそれがあると認められるとき。
(8) 正当な理由がなく前項の規定による助言又は指導に従わないとき。
(9) 第13条第4項の規定により付された条件に従わないとき。
(公表)
第23条 町長は、前条第2項の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由なく当該勧告に従わないときは、当該勧告を受けた事業者の氏名及び住所並びに当該勧告の内容を公表することができる。
2 町長は、前項の規定により公表しようとするときは、あらかじめ当該事業者に弁明の機会を与えなければならない。
(国及び県への報告)
第24条 町長は、前条第1項の規定による公表後、公表内容及び公表の事実を国及び県に報告することができる。
(委任)
第25条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和5年10月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日以後90日を経過する日までの間に事業に着手しようとする場合においては、第12条第1項中「当該事業に着手しようとする日の90日前までに」を「速やかに」と読み替えるものとする。
(事業の届出)
4 この条例の施行の際、現に事業を行っている者(以下「既存事業者」という。)は、令和6年3月31日までに、規則で定めるところにより、既存施設に係る再生可能エネルギー発電事業の概要を町長に届け出なければならない。
5 前項の規定による届出を行った者が当該届出の内容を変更しようとするときは、あらかじめ町長に届け出なければならない。ただし、施行日前に当該変更に係る工事に着手した場合にあっては、この限りではない。
(既存事業者の地位の承継)
7 附則第4項の規定による届出を行った者が当該届出に係る再生可能エネルギー発電事業の全部を譲渡し、又は既存事業者について相続、合併若しくは分割があったときは、当該再生可能エネルギー発電事業の全部を譲り受けた者、相続人、合併後存続する法人、合併により設立した法人又は分割により当該再生可能エネルギー発電事業の全部を承継した法人は、当該譲渡、相続、合併又は分割があった日から30日以内に規則で定めるところにより、その旨を町長に届け出なければならない。