○蔵王町環境基本条例
平成24年8月31日
条例第16号
私たちの郷土蔵王町は、雄大な蔵王の四季折々に見せる豊かな自然の恵みの中で、先人のたゆまぬ努力により、快適で潤いのある生活環境が育まれ、県内でも有数の観光地として発展を続けてきた。
しかしながら、これまで私たちが求めてきた便利で快適な暮らしは、資源やエネルギーの大量消費をもたらし、環境への負荷を増大させ、身近な自然環境が損なわれているだけでなく、すべての生態系の生存基盤である地球環境にまで、温暖化、酸性雨、オゾン層の破壊といった大きな影響を及ぼしている。
健全で恵み豊かな環境を保全することは、私たちが健康で文化的な生活を営むうえで最も重要な課題であり、その環境を享受する権利を有することから、人と自然との共生と資源の循環を基本として、環境の保全及び快適な環境の創造に努め、より良好な環境を将来の世代に継承していく責務を有している。
私たちは、自然の恵みなしに生存できないことを自覚するとともに、自らの生活様式や社会経済活動の在り方を見つめ直し、環境への負荷の少ない循環型社会を構築していかなければならない。
このような認識の下に、町、町民、事業者及び滞在者がそれぞれの立場又は連携において環境の保全に取り組むことにより、環境への負荷の低減を図り、快適な環境の創造に努めるとともに、自然豊かな町の実現を図るため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、豊かな自然に恵まれた本町の良好な環境を現在及び将来にわたって保全し、更にゆとりと潤いのある快適な環境を創造することについて、基本理念を定め、町、町民、事業者及び滞在者の責務を明らかにするとともに、地域の特性を生かした、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、これらの施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来にわたって町民、事業者及び滞在者が健康で文化的な生活を営むことのできる良好で快適な環境の確保に寄与することを目的とする。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2) 環境の保全及び創造 人の健康又は生活環境に係る被害の防止や自然の保護に止まらず、空気や水、緑、そこに生きる動植物などの自然の力を活用することにより、環境にやさしく潤いや癒しを感じられる快適な生活空間を創り出すことをいう。
(3) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少、その他の地球全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに、町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(4) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動、その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、町民、事業者及び滞在者が健康で文化的な生活を営むうえで欠くことができない豊かな環境の恵みを享受するとともに、この環境を将来の世代へ継承していくよう適切に行わなければならない。
2 環境の保全及び創造は、町、町民、事業者及び滞在者がその責務に応じた公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われることにより、環境への負荷の低減を図りながら、資源循環型社会の構築を目指していかなければならない。
3 地球環境の保全は、人類共通の課題であり、地域の環境と深くかかわりがあることを認識して、すべての事業活動及び日常生活において、環境への負荷の低減を図ることにより、積極的に推進されなければならない。
(町の責務)
第4条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施する責務を有する。
2 町は、自らの事務事業の執行に伴う環境への負荷の低減に率先して努めなければならない。
3 町は、町民、事業者及び滞在者の自主的な環境の保全及び創造に関する取り組みを支援するとともに、これに協力するものとする。
(町民の責務)
第5条 町民は、基本理念にのっとり、その日常生活における資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の排出の抑制等による環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 町民は、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に自主的かつ積極的に協力する責務を有する。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止するとともに、環境への負荷の低減、その他環境の保全に資するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 前項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策並びに町民が行う環境の保全及び創造に関する活動に参画し、協力する責務を有する。
(滞在者の責務)
第7条 滞在者は、第5条に定める町民の責務に準じて、環境の保全及び創造に努めるものとする。
(各主体の協働)
第8条 町、町民、事業者及び滞在者は、前4条に規定するそれぞれの責務を果たすとともに、協働して環境の保全及び創造に関する施策及び活動を推進するように努めなければならない。
(環境施策の基本方針)
第9条 町は、環境の保全及び創造に関する施策の策定並びに実施に当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項が確保されるよう各種の施策相互の連携を図りつつ、総合的かつ計画的に行わなければならない。
(1) 大気、水、土壌、その他の自然的環境要素を良好な状態に保つことにより、人の健康と文化的な生活の保護及び生活環境並びに自然環境の適正な保全及び創造を図ること。
(2) 野生生物の種の保存、その他の生態系の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺等における多様な自然環境が地域の社会的条件に応じて体系的に保全されること。
(3) 人と自然との豊かな触れ合いが保たれるとともに、身近な緑や水辺などに恵まれた生活環境が確保されること。
(4) 地域の特性を活かした美しい景観の形成及び歴史的文化的遺産の保全を図ることにより、潤いとやすらぎのある良好で文化的な生活環境が形成されること。
(5) 資源の循環的な利用やエネルギーの消費抑制と有効利用及び廃棄物の排出の抑制等を推進することにより、環境への負荷の低減が図られること。
(環境への配慮)
第10条 町は、環境に影響を与えると認められる施策を策定し、実施するときは、環境への負荷が低減されるよう配慮しなければならない。
(環境基本計画)
第11条 町長は、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、蔵王町環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全及び創造に関する長期的な目標及び施策
(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 町長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、町民、事業者及び滞在者の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるとともに、第26条に規定する蔵王町企画審議会の意見を聴かなければならない。
4 町長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(報告書の作成)
第12条 町長は、環境基本計画に基づいて実施した施策に関する報告書を作成し、これを公表しなければならない。
(環境影響評価の推進)
第13条 町は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を行おうとする者が、その事業の実施に当たりあらかじめ環境への影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について、適正に配慮することを効果的に推進するため、国、県と一体となって必要な措置を講ずるように努めなければならない。
(規制の措置)
第14条 町は、公害の原因となる行為や自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれのある行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。
2 前項に定めるもののほか、町は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。
(森林及び緑地の保全)
第15条 町は、人と自然が共生する緑豊かな地域の形成を図るため、森林及び緑地の保全、緑化の推進、その他の必要な措置を講ずるものとする。
(水環境の保全)
第16条 町は、水源地域としての良好な水環境を保全するため、国、県及び他の地方公共団体、その他の関係機関等と連携し、かつ、町民、事業者及び滞在者の参加又は協力を得て、必要な措置を講ずるものとする。
(公共的施設の整備等)
第17条 町は、環境保全に関する公共的な施設の整備並びに下水道、廃棄物などの処理施設の整備と施策を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
2 町は、公園、緑地等の公共的施設の適正な整備を図るとともに、これらの施設の健全な利用を促進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(廃棄物の減量の促進)
第18条 町は、環境への負荷の低減を図るため、町民、事業者及び滞在者による廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用が促進されるよう、必要な措置を講ずるものとする。
2 町は、環境への負荷の低減を図るため、町の施設の建設及び維持管理、その他の事業の実施に当たっては、廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用に努めなければならない。
(環境教育の振興等)
第19条 町は、関係機関及び関係団体と協力して、環境の保全及び創造に関し、教育及び学習の振興並びに広報活動の充実を図ることにより、町民、事業者及び滞在者がその理解を深めるとともに、これらの者の環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲が増進されるよう、必要な措置を講ずるものとする。
(環境の保全及び創造に関する活動の促進)
第20条 町は、町民、事業者及び滞在者又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。
(環境の監視体制等の整備)
第22条 町は、環境の状況を把握するとともに、環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するため、必要な監視、測定、調査等の体制の整備に努めるものとする。
(地球環境保全の推進)
第23条 町は、地球温暖化の防止、オゾン層の保護、その他の地球環境の保全に資する施策を推進するものとする。
2 町は、国、県及び他の地方公共団体、民間団体等その他の関係機関等と連携し、地球環境の保全に資する情報の提供、環境の状況の監視及び測定等を実施することにより、地球環境の保全に資する国際協力を推進するよう努めるものとする。
(国、県及び他の地方公共団体との協力)
第24条 町は、環境の保全及び創造に関し、広域的な取り組みが必要とされる施策について、国、県及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。
(財政上の措置)
第25条 町は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(環境の保全に関する審議会)
第26条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条に定める環境の保全に関する審議会は、蔵王町企画審議会条例(昭和47年蔵王町条例第30号)第1条に定める審議会とする。
2 審議会は、次に掲げる事項を審議する。
(1) 環境基本計画に関する事項
(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関して必要な事項
(委任)
第27条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、町長が別に定める。
附則
この条例は、平成24年10月1日から施行する。