○蔵王町議会基本条例
平成22年2月16日
条例第3号
蔵王町民(以下「町民」という。)から直接選挙で選ばれた議員で構成する蔵王町議会(以下「議会」という。)と、同じく町民から直接選挙で選ばれた蔵王町長(以下「町長」という。)は、ともに二元代表制のもと、それぞれが町民の負託にこたえる責務を自覚し、町民の福祉の向上のためにお互いに活動するものである。
この2つの代表機関は、それぞれの異なる特性を生かして、町民の意思を町政に的確に反映させるために競い合い、協力し合いながら、蔵王町としての最良の意思決定を導く共通の使命が課せられている。
このため、議会が町民の代表機関として、地域における民主主義の発展と町民福祉の向上のために果たすべき役割は、将来にかけてますます大きくなっている。特に、地方分権の時代を迎えて、自治体の自主的な決定と責任の範囲が拡大した今日、議会は、その持てる機能を十分に発揮して、地方自治の実現に向けて、積極的に政策立案や政策提言を行っていきたいと思う。
言論の府である議会における自由かっ達な討論をとおして、町民の負託にこたえ、議会の使命を達成するために、この条例を制定する。
第1章 目的
(目的)
第1条 この条例は、地方分権と地方自治の時代にふさわしい、町民に身近な地方政府としての議会及び議員の活動の活性化と充実のために必要な議会運営の基本事項を定めることによって、町政の情報公開と町民参加を基本にした町民が主役、地域が主体の豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。
第2章 議会・議員の活動原則
(議会の活動原則)
第2条 議会は、住民主権を基礎とする町民の代表機関であることを常に自覚し、公平性、透明性、信頼性を重んじ、町民に開かれた議会及び町民参加を積極的に推進する議会を目指して活動する。
2 議会は、議会が議員、町長、町民等の交流と自由な討論の場であるとの認識に立ってその実現のために努力する。
3 議長は、町民の議会の傍聴に関し、できる範囲内で議案の審議に用いる資料等を提供するなど、町民の傍聴の意欲を高めるために努力する。
(議員の活動原則)
第3条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由かっ達な討議を推進しなければならない。
2 議員は、町政の課題全般について、町民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める努力と研さんによって、町民の代表にふさわしい活動をするものとする。
3 議員は、議会の構成員として町民全体の福祉の向上を目指して活動しなければならない。
第3章 町民と議会の関係
(町民参加及び町民との連携)
第4条 議会は、議会活動に関する情報を積極的に町民に公開し、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、本会議のほかに、常任委員会、特別委員会及び全員協議会の会議を原則公開するとともに、町民が議会の活動に参加できるような措置を積極的に講じるものとする。
3 議会は、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会の運営に当たり、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して、町民の専門的又は政策的な識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、請願及び陳情を町民による政策提案と位置づけるとともに、その審議においては、これらの提案者の意見を聴く機会を設けなければならない。ただし、請願については、議場において提案者の意見を聴く機会を設けるように努めるものとする。
5 議会は、町民等との意見交換の場を数多く設けて、議会及び議員の政策能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。
6 議会は、主要な議案に対する各議員の賛否の態度を議会広報等で公表する等、議員の活動に対して町民の評価が的確になされるように情報の提供に努めるものとする。
7 議会は、前6項の規定に関する実効性を高める方策として、全議員の出席のもとに町民に対する議会報告会を少なくとも年2回(ただし、特別な事情がある場合は、この限りでない。)開催して、議会の説明責任を果たすとともに、これらの事項に関して、町民の意見を聴取して町政並びに議会運営に反映させるものとする。
第4章 町長と議会の関係
(町長等と議会及び議員の関係)
第5条 議会の本会議における議員と町長及び執行機関の職員(以下「町長等」という。)の質疑応答は、広く町政上の論点及び争点を明確にするために、一問一答の方式で行うものとする。
2 議長から本会議、常任委員会及び特別委員会への出席を求められた町長等は、議員又は委員の質問に対して議長又は委員長の許可を得て反問することができる。
3 議員は、議長を経由して町長等に対して文書で質問を行うことができる。この場合において、町長等は、文書で議員に回答するものとする。
4 議員は、二元代表民主制の充実と町民自治の観点から、法定以外の執行機関、審議会等の委員に就任しない。
(議会審議における論点情報の形成)
第6条 議会は、町長が提案する重要な議案について、議会の審議における論点を明確にするために、町長に対して、次に掲げる事項を明記した資料の提出を求めることができる。
(1) 政策の発生源
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 隣接する自治体及び他の自治体の類似する政策との比較検討
(4) 町民参加の実施の有無とその内容
(5) 長期総合計画との整合性
(6) 関係ある法令及び条例等
(7) 財源措置
(8) 将来にわたるコスト計算
(予算及び決算における政策説明資料の作成)
第7条 議会は、予算案及び決算を審議するに当たっては、町長に対して、分かりやすい施策別及び事業別の政策説明資料の提出を求めることができる。
(法第96条第2項の議決事項)
第8条 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の議会の議決事項については、代表機関である議会が、町政における重要な計画等の決定に参画する観点と同じく代表機関である町長の政策執行上の必要性を比較考量のうえ、次のとおり定めるものとする。
(1) 長期総合計画の基本構想及び基本計画
(2) 都市計画
(3) 国土利用計画
(4) 行財政改革計画
(5) 観光振興基本計画
(6) 環境基本計画
第5章 自由討議の拡大
(自由討議による合意形成)
第9条 議会は、議員による討論の場であることを十分に認識し、議長は、議員相互間の討議が積極的に行われるよう努めなければならない。
2 議会は、本会議、議会運営委員会、常任委員会及び特別委員会において、議員提出議案、町長提出議案及び町民提案等に関して審議し結論を出す場合、議員相互間の自由討議により議論を尽くして合意形成に努めるとともに、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
3 議員は、前項による議員相互間の自由討議を拡大するために、政策の策定、予算等の修正、条例改正、条例制定、意見書及び決議等の議案の提出を積極的に行うよう努めるものとする。ただし、重要な議員提出議案については、常任委員会等に審査を付託し、慎重に審議するものとする。
第6章 議会・議会事務局の体制整備
(委員会等の適切な運営)
第10条 議会は、社会、経済情勢等により新たに生じた行政課題に適切かつ迅速に対応するため、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会の適切な運営により、機動力を高めなければならない。
(議会図書室の充実・公開)
第11条 議会は、議会図書室を充実するとともに、これを議員のみならず、町民及び町職員の利用に供するものとする。
(議会事務局の体制整備)
第12条 議会は、議会及び議員の政策形成・立案機能を高めるため、議会事務局の調査・法務機能を積極的に強化する。なお、当分の間は、執行機関の法務機能の活用、職員の併任等で対応するものとする。
(議員研修等の充実強化)
第13条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るために、議員研修の充実強化を図り、この条例の理念を議員に浸透させるよう努めるものとする。
2 議会は、議員研修の充実強化を図るに当たり、優秀な市町村及び団体等を調査のうえ視察し、先進事例を幅広く取り入れるとともに、広く各分野の専門家及び町民各層等との研究会を積極的に開催するものとする。
3 議会は、議員の資質の向上を図るために、定期的に学習会等を開催するよう努めるものとする。
(議会広報の充実)
第14条 議会は、町政に係る重要な情報を、議会独自の視点から常に町民に対して周知するよう努めるものとする。
2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会と町政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
第7章 議員の身分・待遇・政治倫理
(議員定数)
第15条 議員の定数は、別に条例で定める。
2 議員の定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。
3 議員の定数の条例改正案は、法第74条第1項の規定による町民の直接請求があった場合を除き、改正理由の説明を付して必ず議員が提案するものとする。
(議員の報酬)
第16条 議員の報酬は、別に条例で定める。
2 議員の報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけではなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。
3 議員の報酬の条例改正案は、法第74条第1項の規定による町民の直接請求があった場合を除き、改正理由の説明を付して必ず議員が提案するものとする。
(議員の政治倫理)
第17条 議員は、町民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑を招くことのないように行動しなければならない。
第8章 最高規範性及び改正手続き
(最高規範性)
第18条 この条例は、議会運営における最高規範であって、議会は、この条例に違反する議会の条例、規則、規程等を制定又は改正してはならない。
2 議会は、議会に関する日本国憲法、法律及びその他の法令等の条項を解釈し、運用する場合においても、この条例に照らして判断しなければならない。
(議会及び議員の責務)
第19条 議会及び議員は、この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例、規則及び規程等を遵守して議会を運営し、もって町民を代表する合議制の機関として、町民に対する責任を果たさなければならない。
(改正手続き)
第20条 議会は、社会情勢の変化及び法令等の改正により、この条例の改正が必要になった場合は、議会運営委員会において検討するものとする。
2 議会は、前項による検討の結果、制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講じるものとする。
3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳細に説明しなければならない。
附則
この条例は、平成22年2月16日から施行する。
附則(平成23年条例第16号)
この条例は、地方自治法の一部を改正する法律(平成23年法律第35号)の施行の日から施行する。
附則(平成23年条例第19号)
この条例は、公布の日から施行し、平成24年3月6日から適用する。
附則(平成24年条例第18号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成25年条例第13号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和2年条例第24号)
この条例は、公布の日から施行する。