○蔵王町の環境保全に関する条例

平成18年4月28日

条例第35号

(基本方針)

蔵王国定公園を擁する私たち蔵王町民は、秀峰蔵王の山並みとその自然から生み出される清らかな流れがもたらす自然の恵み、豊かなみのりと自然が織りなす四季折々の美しい景観の中、農業と観光の町として、豊かな人間性を育み、健康的で活力あふれる住みよい郷土を築いてきた。

私たちは、わが町の産業にとって貴重な資源であるとともに、住みよいまちづくりに欠かすことができないこの良好な自然環境や生活環境、先人たちが築いてきた歴史文化環境を守り続け、後世に伝えていくため、心をひとつにして取り組むべき責務を深く自覚し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、関係法令並びに宮城県及び町の条例(以下「法令等」という。)に定めるもののほか、環境の保全について基本的事項を定め、町、事業者及び住民等の責務を明らかにし、現在及び将来にわたり、自然と調和した良好な環境の確保に寄与することを目的とする。

(用語の定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 良好な環境 住民が健康で文化的な生活を営むことができる生活環境(人の生活に密接な関係のある財産、動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)、自然環境(自然の生態系を構成する土地、大気、水及び動植物をいう。)及び歴史文化環境(郷土の歴史的文化的遺産及びこれを取り巻く環境をいう。)をいう。

(2) 公害 事業活動その他の人の活動に伴って生ずる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。

(3) 対象施設 別表に掲げる施設をいう。

(4) 対象事業場 対象施設を設置する事業場をいう。

(5) 排出水等 事業場から公共用水域(水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)第2条第1項に規定する公共用水域をいう。)に排出される排出水及び事業場から土壌又は地下に浸透する水をいう。

(町の責務)

第3条 町は良好な環境及び水資源を保全するため、必要な施策を講じる責務を有する。

(事業者の責務)

第4条 事業者は、その事業活動を行うにあたっては公害を防止し、良好な環境及び水資源の保全のために必要な措置を講ずるとともに、町が実施する施策に協力しなければならない。

(住民等の責務)

第5条 町の区域内に居住する者及び町を訪れる者は、この条例の目的を理解し自らが主体となって、町及び関係行政機関等が実施する施策に協力しなければならない。

(各機関の協力)

第6条 町、事業者、住民等は、第3条から前条までに規定する責務を果たすため、それぞれ連携しこの条例の目的を効果的に達成するよう努めなければならない。

(投棄等の禁止)

第7条 何人も、河川、水路、山林、空地及びその他公共の場所に廃棄物を捨て、又は放置するなどの行為をしてはならない。

(生活排水対策)

第8条 生活排水を排出する者は、次の各号に掲げる事項に取り組まなければならない。

(1) 下水道への接続

(2) 合併処理浄化槽の設置と適正な管理

(3) 第1号及び前号に掲げるもののほか、水質浄化に有効なものと町長が認める汚水処理施設の設置

(事業用排水の浄化)

第9条 事業者は、事業活動に伴い排出水等を排出するにあたっては、河川水及び地下水の水質の維持向上に努めなければならない。

(家畜ふん尿の適正処理)

第10条 畜産業を営む者は、家畜のふん尿について、その処理施設の整備に努めるとともに、堆肥化等による土壌への適正な還元に取り組まなければならない。

(肥料及び農薬の適正使用)

第11条 農業を営む者は、化学肥料及び化学合成農薬を使用するにあたっては、その適正な使用に努め、かつ、できる限り天然の原料を用いた肥料の使用を推進し、伝統的な知恵や新しい技術を利用することによって化学合成農薬の利用を抑制するよう努めなければならない。

(対象事業場の設置に係る事前協議及び措置等)

第12条 町内において対象事業場を設置しようとする者(対象事業場以外の既存の建物、構築物又は施設等を対象事業場として利用しようとする者を含む。以下「対象事業者」という。)は、あらかじめ町長に規則で定める事前協議書を提出し、町長と協議をしなければならない。

2 規則で定める対象事業場を設置しようとする者が前項の規定による事前協議書を提出しようとするときは、事前に当該対象事業場の設置計画及び事業内容等を周辺区域(当該対象事業場を設置することにより影響を受け又は影響を受けるおそれがある区域をいう。)の住民に周知させるための説明会その他必要な手続きを取り、理解を得るよう努めなければならない。

3 町長は、前項に規定する対象事業者が同項に規定する手続きを取らずに第1項の事前協議書を提出した場合は、その手続きが完了するまで協議を保留することができる。

4 町長は、第1項の協議において、良好な環境及び水資源を保全するため必要と認めるときは、対象事業者に対し公害防止協定の締結その他必要な措置を取るよう要請することができる。

5 町長は、第1項の協議が完了した場合は、当該対象事業者に協議の結果を通知するものとする。

6 町長は、第4項又は前項の規定により要請又は通知をしようとする場合において必要があると認めるときは、蔵王町企画審議会の意見を求めることができる。

(事前協議、手続き又は措置を取らない対象事業者への勧告等)

第13条 町長は、対象事業者が次の各号の一に該当する場合は、当該対象事業者に対し期限を定めて事前協議書の提出又は手続きを取るよう勧告することができる。

(1) 前条第1項の規定による事前協議書を提出せず、又は提出する見込みがないと認める場合

(2) 前条第3項の規定により協議が保留になっている対象事業者が同条第2項に規定する手続きを行わず、又は行う見込みがないと認める場合

2 町長は、対象事業者が前条第4項の要請に基づく措置を取らず、又は取る見込みがないと認めるときは、当該対象事業者に対し期限を定めてその措置を取るよう勧告することができる。

3 町長は、対象事業者が第1項又は前項の勧告に応じない場合は、法令等の規定により当該対象事業場の設置等に関し必要な許可(届出の受理等を含む。)の権限を有する行政庁に対し意見を述べ、その他必要な措置を取ることができる。

(事前協議終了前の着工禁止)

第14条 対象事業者は、第12条第5項の通知が送付されるまでは、対象事業場の造成又は建設工事等に着手してはならない。

(施設を変更した場合の事前協議等)

第15条 第12条から前条までの規定は対象事業場の構造若しくは規模又は事業の範囲を変更しようとする場合に準用する。ただし、単に対象事業場の規模若しくは事業の範囲を縮小しようとする場合又は軽微な変更と町長が認めた場合は、この限りでない。

(対象事業場の承継及び閉鎖)

第16条 対象事業場を譲り受けた者、借り受けた者若しくは相続した者又は合併により承継した法人は、その承継のあった日から14日以内に町長に届け出なければならない。

2 対象事業場を閉鎖した場合は、14日以内に町長に届け出なければならない。

(報告及び改善の要請)

第17条 町長は、良好な環境及び水資源の保全のため必要があると認めるときは、対象事業場を設置している者から必要な報告を求めることができる。

2 町長は、良好な環境及び水資源の保全のため必要があると認めるときは、対象事業場を設置している者に対し期限を定めて、対象事業場の改善その他必要な措置を要請することができる。

(委任)

第18条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成18年6月1日から施行する。

(経過措置)

2 第12条から第16条までの規定は、この条例の施行日以後において対象事業場を設置又は変更しようとする者(この条例の施行日前に対象事業場を設置又は変更するため必要な法令等に基づく許可を受け、その他すべての手続きを終えた者を除く。)に適用し、これ以外の者については、なお従前の例による。

別表(第2条関係)

施設の名称

1 ゴルフ場

2 一般廃棄物処理施設

3 産業廃棄物処理施設

4 有害物質(水質汚濁防止法施行令(昭和46年政令第188号)第2条各号、大気汚染防止法施行令(昭和43年政令第329号)第1条各号及びダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)第2条各号に掲げる物質をいう。)を排出し又は排出するおそれがある施設

5 畜産農業施設(水質汚濁防止法施行令別表第1中第1号の2のイからハに掲げる施設をいう。)のうち豚房、牛房又は馬房の総面積が500平方メートル以上の施設

蔵王町の環境保全に関する条例

平成18年4月28日 条例第35号

(平成18年6月1日施行)