|
新学力調査4年目
|
3年生算数・平沢小学校
蔵王町教育委員会では、町内小・中学生の学力の実態を把握するための学力調査を、今年も４月に実施しました。調査は、小学校２～５年生（国・算）、中学校１年生（国・社・数・理）、中学校２年生（国・社・数・理・英）を対象とし、思考力や表現力を分析できる記述式の設問を盛り込んだ内容となっています。同時に、小学校５・６年生と中学校３年生には、起床・就寝時刻やテレビ・ゲーム・インターネットといった家庭生活に関するアンケートを行いました。
小学校の現状と課題
調査の観点には「基礎となる力」と「活用する力（思考力・判断力・表現力）」の２つがありますが、「活用する力」については、国語・算数のいずれも全国平均との開きが見られ、昨年に引き続いての課題と考えられます。教科別の結果および分析は次のとおりです。
国語の考察
町全体の平均正答率（全国平均正答率を１００としたときの到達率）を学年別に見ると、全国平均と比べて下回っていることが分かりました。
国語の「基礎となる力」と「活用する力」の二つの視点で分析したところ、「活用する力」に、より課題が見られました。ここでの「活用する力」とは、言葉や文章から、相手が伝えたいことを考え判断したり、自分が伝えたいことを表現したりする力のことを示します。
「活用する力」の出題内容をみると、与えられた情報を読み取って、例にならって文を書いたり、字数制限の中で自分の考えを記述したりするものが多く、様々な制約のある中で設問に答えるということは、考えるだけでなくさらに要約する力も求められることになります。
国語は、すべての学習の基礎となる教科です。各学校では、引き続き授業の工夫や言語活動の充実、読書の推進等に取り組んでいきます。同時に、「活用する力」に対応できるようなやや難度の高い設問に触れる機会を多くし、それを解く方法を教えていかなければならないと考えております。
また「活用する力」を身に付けることについては、ご家庭でも意識していただければと思います。普段の会話の中でも思いや考えを適切に伝え合うなど、言葉を大切にする環境を整えることは「活用する力」の向上の手掛かりになるものと考えますので、今後ともご協力をよろしくお願いいたします。
算数の考察
平均正答率を見ると、全ての学年で全国平均を下回る結果となり、高学年ほどその開きが大きくなってきていることが分かりました。
算数の「基礎となる力」と「活用する力」の二つの視点で分析したところ、「基礎となる力」は、全国平均とほぼ同程度でした。それに比べて、「活用する力」はどの学年も下回っており、算数の学習で身に付けた知識や技能を、学習や生活の様々な場面で役立てることに課題が見られました。
「活用する力」の出題内容を見てみますと、二つの時刻の間の時間を比べて、どちらの時間が長いかを説明したり、二つのグラフを読み取り、それを根拠に示された事柄が間違っている理由を説明したりという、自分の考えをまとめて記述する国語の力も必要な問題もあります。また、文章問題で余計な数値に惑わされることなく正答を導き出したり、身近なもののかさや面積を推察したりといった読み取りの力や多様なものの見方が必要な問題もあります。
これらの問題に対応していくためには、読解力の根底となる国語力を引き上げながら、生活の身近な場面において、学習したことを生かせる機会や経験を重点的に取り上げることが大切になってきます。そうすることが、課題である「算数で学んだことを役立てる力」や「生活とのつながり」を高める手掛かりになるものと考えます。
|
小学校共通
|
|
●朝の時間を利用したドリルや読書の実施、教科担任制、専科制の実施 |
|
円田小学校
|
|
●教員の教科指導力向上（校内研究「算数科」における模擬授業・研究授業・事後検討会等の実施） |
|
平沢小学校 |
|
●教員の教科指導力向上（算数科の校内研究、模擬授業やワークショップ型の事後検討会） |
|
永野小学校 |
|
●教員の教科指導力向上（校内研究「算数科」における事前・事後検討会や模擬授業等） |
|
宮小学校 |
|
●教員の指導力向上（国語科校内研究;自分の考えをまとめ、文章で表現する活動を取り入れた授業づくり） |
|
遠刈田小学校 |
|
●教員の教科指導力向上（国語科を中心とした校内研究の推進） |
３年生国語・円田中学校
中学校の現状と課題
国語、数学、理科（２年）の「基礎となる力」は全国平均に近い正答率でした。一方、社会、英語（２年）、理科（１年）の「基礎となる力」は全国平均より下回っていることが分かりました。「活用する力」は、社会、数学（１年）、理科（１年）、英語（２年）で全国平均を下回っていることが分かりました。
今回の学力調査を受け、今後各教科で重点的に指導すべき内容について下の表にまとめました。
中学校では、各校の実態に合わせて、国語科、数学科、英語科における少人数指導やティームティーチングを導入し、生徒の学力に応じた支援を行っています。また、授業の導入で課題を明確に示すことや、授業の終末には適用問題に取り組んだり感想を書いたりする時間を確保するなど、「わかる授業」づくりに努めています。生徒一人一人の学力の基本となる、話を聞く態度やノートの取り方などの学習習慣、学習規律の徹底を各教科の授業において図っています。
さらに、家庭学習の充実を図ることも学力を育む上で不可欠と考えています。その内容や方法、学習量などについての指導を細やかに継続して行ってまいります。
|
国 語
|
|
●自分の考えの根拠を示しながら論理的に話したり、相手の意図を考えながら話を聞いたりする能力（2年） |
|
社 会
|
|
●「日本の工業生産」「日本の農業や水産業」「日本の政治」 |
|
数 学 |
|
●「比例と反比例」身のまわりの問題を比例や反比例の関係を利用して解決する力を身に付ける学習指導の工夫 |
|
理 科 |
|
●「葉・茎・根のつくりとはたらき」「気体や水溶液の性質」の単元学習における基本的な知識（1年） |
|
英 語
|
|
●学習した内容を活用して、積極的に英語で話したり書いたりして伝える表現力の育成 |
|
中学校共通
|
|
●電子黒板やインターネット等、ＩＣＴ（情報通信技術）を活用した授業の推進 |
|
円田中学校
|
|
●教職員全員参加の校内一斉研修会の実施と１人１授業提案による（研究授業実施）、授業改善に向けた取組 |
|
宮中学校 |
|
●授業づくり強化期間（年間４回）中に全教員が１回の研究授業 |
|
遠刈田中学校 |
|
●数学科指導におけるTT指導及び少人数指導、国語科指導でのTTによる学習支援 |
|
家庭でもできること
|
生活アンケートから
平成29年度も、町内小学校5・6年生（184名）と中学校3年生（116名）を対象に、「生活に関するアンケート」を行いました。
①「学習時間の増加傾向（小）」
小学生では、1時間以上学習している割合が昨年同様71％であり、さらに1時間半以上学習している割合が28％と、昨年の17％から大きく増加しています。その要因として、町内の小学校が統一して活用している「家庭学習カード」の取組が効果を上げていると考えられます。
②「就寝時刻及びゲーム等の使用時間の改善傾向（中）」
中学生で11時までに就寝する割合が42％と昨年の30％から大きく増加しています。逆に、深夜1時以降に就寝している割合が2％と昨年の7％から減少しています。夜更かしをしている生徒が減少の傾向にあります。
これは、「ゲーム・インターネット・携帯メール等を使用する時間」の減少と相関関係があるものと考えられます。これらゲーム等を、平日は使用しないという割合が昨年の5％から12％と大きく増加ししています。逆に4時間以上使用するという割合は17％から8％に大きく減少しており、ゲーム等に没頭して夜更かしをしてしまう生徒が減少していると考えられます。
様々な機能が付いたスマホ、タブレット、ゲーム機など、以前は存在しなかった機器が次々と登場してきましたが、これらの機器の使用について、家庭や学校での子どもたちへの声がけ、指導が効果を上げているものと思われます。
③「起床時間の好調維持（小・中）」
小学生で７時より前に起床する割合が83％であり、ここ数年80％台を維持しています。また、中学生も67％が7時までに起床しており、昨年の61％から増加しています。小・中学生共に「早起き」の習慣が身に付いていると考えられます。
望ましい生活習慣は、小・中学生の成長著しいこの時期に、身体、体力面はもとより、学力面においても大変大きな影響を及ぼします。宮城県が推奨している「早寝・早起き・朝ごはん」運動にも、家庭と学校が連携しながら、意欲的に取り組んでいきたいものです。
問い合わせ先／各小中学校または、町教育委員会教育総務課 TEL0224－33－3008