健康一口メモNo323
B型肝炎ワクチンについて
公立刈田綜合病院 小児科 医師 奥平 長子 先生
2016年10月1日から新しく、B型肝炎ワクチン(HBV)が定期接種になりました。1歳までの子どもが対象となっています。この年代に感染すると、キャリア(ウイルスを保有している人)化しやすいためです。子どもにとって痛いワクチンがもう一つ増えたわけですが、このワクチンで、慢性肝炎、肝硬変、肝癌が予防できます。
日本では、キャリアの母から子どもへの感染(垂直感染)を防ぐためのワクチン接種が行われてきました。しかし、時が流れて、慢性化しやすいタイプのウイルスの流入、周囲から感染する人の問題などが出てきました。
世界のB型肝炎ウイルス対策は、子ども全員にHBVを受けてもらうものとなっています。この方式は、世界の国々が日本の垂直感染予防方式を導入しようとしたが、「同じやり方は自国では難しい。しかし、何とかしたい」と考えて、HBVを受ける人を選ばない(全員に受けてもらう)ことを始めました。この方式が広がっていき、有効性がWHOの知るところとなり、今日に至り、ほとんどの国がこの方式になりました。
日本では、水平感染の証明が定期接種化の条件となりました。尿・涙・汗・唾液などから感染が立証されて、晴れて仲間入りとなりました。
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