健康一口メモNo306
「アキレス腱断裂」

公立刈田綜合病院外科 医員　菅原　長弘 先生

　アキレス腱断裂は、主にスポーツ活動において、ジャンプ・ダッシュ・ターンなどの激しい動作によって強いストレスが加わることで生じます。30歳代を超えるとアキレス腱が傷み出してくる （変性）ことが判明しており、 「アキレス腱断裂は30〜40歳代、特に男性に多い」と言われています。断裂の瞬間「誰かに蹴られた」ように感じ、直後に痛みが生じます。
　アキレス腱断裂の治療には「保存療法（手術しない） 」と「手術療法」とがあります。保存療法は、長期間のギプス固定をするため、ふくらはぎの筋力が低下し足関節の動きが悪くなり、再断裂の危険が高いです（保存療法で12%、手術療法は5％）。そのため、当院ではこれらの合併症が少ない手術療法を推奨しています。具体的な治療方法は、「保存療法は6週間のギプス固定、手術療法は術後4週間のギプス固定」を行い、その後「オーダーメイドの装具」を装着。リハビリで徐々にアキレス腱を伸ばしていきます。完全なスポーツ復帰は受傷後7カ月目としています。
　このように、アキレス腱断裂は治療に時間がかかります。 「断裂した2割の症例に前兆（アキレス腱部の痛みや違和感）があった」との報告もあります。アキレス腱に何らかの症状がある方は、断裂する前にぜひ一度診察を受ける事をお勧めします。

休日当番医（内科・外科・歯科）　12月6日〜1月10日