健康一口メモNo296
「MR(磁気共鳴)のお話」

公立刈田綜合病院
放射線部長　田沢　 聡 先生

　MRとは、X線撮影やCTとは違い、放射線を被ばくすることなく、強い磁石と電波を使い体内の状態を断面像として描出することができるもので、当院で最も高価な装置です。体内の水素原子が持つ弱い磁気を、強力な磁場でゆさぶり、水素原子の状態を画像にします。
　大きな磁石のトンネルの中に入った被写体に、FMラジオに用いられる電波を当てることによって、体の中から放出される信号を受け取り、体内の様子を画像化します。被験者は30分くらい寝台に寝ているだけです。
　2003年には、医学における重要性と応用性が認められ、2人の開発者にノーベル賞が与えられました。
　MRが世に出てから33年が過ぎ、この間改良を重ね安全性も高められました。
　MRは、強力な静磁場による磁気作用を利用するので、磁気に反応する金属が体内にあると検査を受けられません。
　磁気に反応するもの、例えば酸素ボンベなどは、重量があるにもかかわらず、近づけると飛んでいってしまうほど磁気の力が強いのです。また、磁気カードを持ち込むと消却されてしまいます。さらに、装置の内部は狭く、機械音がうるさいなどの欠点もありますが、体内のさまざまな病巣を発見できるのが最大の魅力です。
　脳や脊椎、四肢、前立腺、子宮などに関し優れた能力を持ち、診断の主役に踊り出てきています。

休日当番医（内科・外科・歯科）　2月1日〜3月1日