写真で見る ふるさと いまむかし

第8回 遠刈田温泉の共同浴場


@平成18年オープンの「神の湯」

 最近はすっかり朝夕の冷え込みが厳しくなってきましたね。これからの季節に恋しくなるのが温泉です。遠刈田温泉には「神の湯」「寿の湯」2つの共同浴場が設けられています(写真@)。今回は、遠刈田温泉の公衆浴場の「いまむかし」を追いかけてみましょう。

 400年以上も昔の開湯と言い伝えられる遠刈田温泉。地域住民のお風呂として、また、湯治や登山、蔵王観光の拠点として親しまれてきました。
 今の旅館やホテルには、それぞれ立派な浴場が設けられていますが、90年ほど前までは、浴場を備えた旅館はありませんでした。宿泊客はみな共同浴場で入浴していたのです。


A共同浴場の建つ大通りの幅は50mもありました(昭和10年頃)

 写真Aは、80年ほど前の遠刈田温泉。道の真ん中に3つ並んでいるのが共同浴場で、手前から「上ノ湯」「中ノ湯」「下ノ湯」と呼ばれていました。この数年前の昭和7年(82年前)、温泉街の7割近くを焼く大火事がありました。共同浴場も焼失しましたが、地域住民の力で復興しました。  昭和37年(52年前)、蔵王エコーラインが開通すると、遠刈田温泉は全国から押し寄せる観光客の受け皿として大繁盛しました。
 しかし、昭和初期に建てられた共同浴場は老朽化が著しく、新しい施設が望まれていました。  昭和42年(47年前)、待望の新施設「遠刈田福祉センター」がオープンしました(写真B)。共同浴場、休憩所、ホールなどの設備が整った鉄筋コンクリート3階建ての近代的な建築で、かつての下ノ湯の場所に建てられました。


B鉄筋コンクリート3階建ての遠刈田福祉センター


 長く親しまれた遠刈田福祉センターも、平成10年代には老朽化が目立つようになったため、平成18年、現在の共同浴場「神の湯」が作られました。
 建物は、昭和初期の共同浴場をイメージした木造で、名称も、一般公募の上、かつて上ノ湯があった場所にちなんで命名されました。手軽に温泉を楽しめる足湯も併設され、遠刈田温泉観光の目玉として親しまれています。

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