小・中学校学力調査結果報告
   
小学校は“全国平均にほぼ並ぶ”
中学校は“英数国を中心に、
差を更に縮める”


小学5年生算数の授業「小数のわり算」(平沢小)

 町教育委員会では、町内の児童生徒の学力面での実態を把握するために、平成14年度から小・中学校の学力調査(CDT 2〜3月に実施)を継続実施しています。今回(平成23年度)で10回目になりますが、学力向上に向けて取り組んできた成果が、小・中学校ともに少しずつ表れてきています。
 また、今年度もご家庭での様子を知るために『生活アンケート』(現小学5・6年生。中学3年生を対象に、7月に実施)を行い、「起床時刻」「就寝時刻」「睡眠時間」「家庭学習時間」「テレビ視聴時間」「ゲーム・携帯メール時間」の調査結果をまとめました。
 児童・生徒の学習やご家庭での様子・傾向がうかがえると思います。今後、「どのように働きかけていけばよいか」を考える参考資料の一つとして積極的にご活用ください。

小学校の現状と課題
 小学4年生(現5年生)、6年生(現中学1年生)の総合学力は、全国平均を上回りました。また、教科別でも平均正答率が全国平均を上回っている学校が多く、各学校での学力向上に向けた取り組みの成果が表れてきているといえます。

国語
 総合では、4年生(現5年生)は全国平均を4ポイント上回り、6年生(現中学1年生)も全国平均を1ポイント上回りました。「話す・聞く力」「書く力」「読む力」「言葉や漢字」という四つの領域においても、4年、6年共に全ての項目で全国平均を今年度は上回りました。昨年度全国平均を下回っていた「読む力」(昨年度、4年生は8ポイント、6年生は1ポイントですが下回っていました。)においても今年度は全国平均を上回っています。国語の学力は着実に身に付いてきていると考えられます。
 これは、毎日の学校での授業の充実や一人一人の児童の取り組みはもちろんのこと、朝の読書やボランティアさんによる読み聞かせ、家庭学習習慣化への取組、先生方による国語学習の指導力向上のための実践等が少しずつ成果をあげてきたのだと思います。
 国語の学力をさらに定着させるためには、家庭での学習がとても大切になってきます。例えば、日記を書いたり、読書をしたり、漢字の復習をしたり、分からない言葉を調べたり、習っているところを音読したりという活動が考えられます。ご家庭でのお声がけをよろしくお願いいたします。

算数
 総合では、4年生(現5年生)は全国平均を2ポイント上回り、6年生(現中学1年生)も全国平均を3ポイント上回りました。
 4年生は「考える力」が全国平均を下回っており、力を入れる必要があります。例えば、学校で学習したこと(時間・お金・速さ・重さなど)を日常生活の中で活かし考える機会を設けていくこともとても大事です。
 また、4年生、6年生ともに「理解力」「計算力」が全国平均と同じまたは上回っており、学校や家庭での取組の成果が表れていると思われます。今後も、各学年の「計算のきまり」を理解し、文章問題を落ち着いてよく読み考え、「積み重ねの学習」をしていくことが必要です。 

平成24年度 町内小学校5校の学力向上への取り組み
円田小学校

●教員の教科指導力向上(算数科の校内研究、模擬授業・研究授業の実施、現職研修の充実)
●朝の読書(月・金)読書ボランティアによる読み聞かせ
●ドリルタイム(水・木)
●詩の暗唱(音読集の活用)
●放課後における個別指導の推進と充実
●教科担任制(2年体育:教務、6年社会:教頭)
●交換授業(5年音楽・家庭科と6年理科)
●TT指導(3年算数:教頭)
●合同授業(音楽・体育・生活科等)
●学習支援員との連携による個別支援
●家庭学習の習慣化(「家庭学習の手引き」の活用、家庭学習カードの活用)
●電子黒板を活用した授業

平沢小学校

●教員の教科指導力向上(算数科の校内研究、模擬授業の実施)
●ぐんぐんタイム(国・算ドリルタイム月〜金、朝の10分間読書・TT指導)
●朝の読書(読書ボランティアによる読み聞かせ協力活用)
●家庭学習の習慣化(「家庭学習の手引き」の活用、家庭学習のチェックカード活用)
●TT指導の実施(6年:国語・算数等)
●合同授業(体育・音楽・生活等)
●体験学習の重視(自然の家・総合体験学習等)
●ノーゲームデーの推進(月曜日)
●学習支援員との連携(2年)
●電子黒板を活用した授業

永野小学校

●教員の指導力の教科指導力向上(校内研究「国語科」、模擬授業等)
●朝の読書タイム(火〜金曜日)
●読書ボランティアによる読み聞かせと図書室の整備
●家庭学習の手引き(習慣化)・音読カード
●金曜日の放課後に個別指導(チャレンジタイム)
●新学習指導要領に対応した通信票の改訂
●教科担任制(4年理科:教頭、5・6年理科:教務)
●学習支援員との連携(3学年)
●学習環境の整備(昼の全校清掃・掲示物の工夫)
●保護者との個人面談の実施(夏季休業日中)
●電子黒板を活用した授業

宮小学校

●教員の教科指導力の向上(校内研究/国語、ワークショップ型事後検討会、少人数指導/算数)
●児童の学習習慣の形成(よい子の学習ルール・家庭学習の手引き、よい子の約束)
●夏休みお助け塾の実施
●朝の読書、低学年への読み聞かせ(火曜日)
●教育環境基盤の充実(早寝・早起き・朝ごはん、支援ボランティア活用、各種行事の実施)
●教科担任制(3・4年音楽、5年図工、6年理科ー教頭・教務)
●交換授業(理科、家庭科)、合同授業の実施
●学習支援員との連携、個別指導の充実
●電子黒板を活用した授業

遠刈田小学校

●教員の教科指導力の向上(校内研究/国語、研究授業、ワークショップ型事後検討会、担任による互いの授業参観)
●朝の基礎基本の時間の充実(漢字練習・計算練習など)
●図書ボランティアによる読み聞かせ(月1回)
●教科担任制授業の実施(6年理科・教頭、5年理科・教務)
●少人数、TT指導の実施(教頭・教務・学習支援員)
●家庭学習の手引きの作成(系統性のある指導体制・内容)
●「早寝・早起き・朝ごはん」運動の推進
●ノーテレビ・ノーゲームデーによる読書の推進(木曜日)
●合同授業の実施(音楽・体育)
●小中連携の推進
●職員間での情報共有化の推進(生徒指導などの緻密性)
●電子黒板を活用した授業


※ TTとは、チーム・ティーチングの略。複数の教師がチームを組んで子どもたち一人一人の実態に応じながら指導する方法



中学3年生数学の因数分解の授業(遠刈田中学校)

中学校の現状と課題
 各学校では前ページの表にあるような学力向上の取り組みを行ってきました。町内3校の2年生(現3年生)を対象に今年3月実施した学力検査では、グラフのとおり、五教科の合計点数の全国平均との比較が、昨年度と同様の結果となりました。教科ごとの点数を見ると、どの教科も同じように、全国平均に近づいているのが分かります。
 全国平均と比べて、各教科の弱い部分は次の通りです。国語は「大切なことを整理して話すこと」「場面に応じて適切に話し合うこと」。社会は「織田・豊臣による天下統一」「日本の産業と資源」。数学は「一次関数」「文字式の計算と利用」。理科は「生物と細胞」「気象観測」。英語は「文字等の知識を身に付けること」「基本的な話し方を理解すること」となっています。
 3校とも、「生活習慣の確立の上に学習習慣の確立がある」という基本的な考えの下、学力向上を目指した取り組みを行っています。生活アンケートの結果では、睡眠不足等の問題点が明らかになりました。生活のリズムを整えるとともに、計画的に家庭学習を行うことが学力向上の鍵になります。そして、その際今回の学力調査で浮き彫りになった弱点分野を繰り返し復習し、バランス良い学力を身に付けることも大切な視点です。

町内中学校3校の学力向上への取り組み
遠刈田中学校

●予習型家庭学習の実施
●毎日の「朝の読書」の実施
●「学習補助プリント」の内容の工夫
●「小テスト」「単元テスト」を通して理解度の確認
●少人数指導(数学科)の実施
●英語検定の実施
●夏季休業日における学習会の実施
●放課後の学習会の実施(全学年)
●小中連携の推進
●学校だよりや学年だより等での学習意欲の喚起
●電子黒板を活用した授業
●「家庭学習の手引き」の活用

円田中学校

●毎日「朝の読書」を実施
●担任が自主学習をチェック
●復習確認テストの実施
●数学での少人数指導
●帰りの会前ドリル学習とまとめテストの実施(昨年度より)
●漢字検定・英語検定・数学検定の実施
●職員全員で取り組む校内一斉研修会の実施(言語活動の充実を図る授業づくりの推進)
●夏季休業日における自主学習室の提供と学習支援
●学校、学年だより等における学習意欲の喚起
●電子黒板を活用した授業
●「家庭学習の手引き」の活用

宮 中 学 校

●思考力・判断力・表現力の向上を目指した、言語活動の充実を図った授業改善
●少人数指導(英語科)
●毎日の朝読書
●国語、数学、英語の基礎学力の向上を目指したMLS(Miyachu Let'Study)学習WEEKを年間6回設定
●MLS(評価テスト)を行い、補習・追試等の事後指導
●定期テスト前の学習会の実施
●学習カードを利用した家庭学習の定着
●電子黒板を活用した授業
●教員の授業力向上を図る授業研修会・授業見学会の実施
●学校、学年だより等における学習意欲の喚起
●英語検定の実施
●「家庭学習の手引き」の活用

 

家庭にお願いしたい事

生活アンケートから協力いただきたいこと
 平成24年度の生活アンケートによると、全体の傾向としては例年と変わらないようです。具体的には、次のような傾向がうかがえます。
 「睡眠時間」は、小学生は8時間くらい。中学生は7時間くらいが最も多い結果でした。「起床時刻」は、小・中学生ともに6時〜7時の時間帯、「就寝時刻」は小学生が9時〜10時、中学生は11時〜12時が多い結果になりました。今後留意すべき点としては、中学生で12時以降に寝ている割合が昨年に比べて増えたことがあげられます。睡眠不足の生徒が多いのではないかと気がかりです。12時から2時の間の深い眠りの得られる時間はしっかり眠り、早寝・早起きの習慣を心がける必要があります。
 「家庭学習時間」は、小中学生ともに1時間〜1時間半が最も多い結果となりました。昨年に比べ小学生は、この時間帯の割合が倍増しました。中学生は、1時間半以上学習する生徒の割合が増えています。
 「テレビの視聴時間」は、小中学生とも2時間〜3時間が約半数をしめました。小学生は、約三分の一が4時間以上テレビを視聴しています。 「ゲーム・インターネット・携帯メール等の時間」は、小中学生ともに1時間前後が多いようです。留意すべき点としては、中学生では2時間以上と答えた生徒が昨年に比べて13%増えたことがあげられます。現在インターネット上での誹謗中傷や犯罪が社会問題になっています。学校においては、情報モラルを身に付けさせる指導を適切に行っていますが、家庭との連携をさらに強めて参ります。
 今回の生活アンケート結果をお子さんと一緒に見ながら、お子さんはこの結果のどこに位置しているのか確認し、良い点や見直すべき点を話し合ってみて下さい。そしてお子さんがルールを決めて生活できるようお声がけをお願いします。


問い合わせ先/各小・中学校または町教育委員会教育総務課 TEL0224−33−3008

 

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