小・中学校学力調査結果報告
   
小学校は「今年度は良好な状況」
中学校は「前年度より上昇」


小学5年生算数の授業「分数のたし算とひき算」(遠刈田小)

 町教育委員会では、町内の児童生徒の実態を把握するため、平成14年度より、小・中学校の学力検査(小4・6・中2)を実施しており、今回(平成19年度)で6回目となります。

小学校の現状と課題
 町の児童全体の学力(国語、算数)は、平成14年度以降少しずつ向上しています。
 4年生と6年生の平均正答率も、国語、算数ともに全国平均以上で良好な状況と言えます。
 学力向上対策のために各学校で取り組んできた成果が表れていると考えられます。

国語
 目標到達状況を見ると、4年生も6年生も90l以上の児童が「十分到達」「おおむね到達」の段階にあります。
 特に『言語』に関しては、4・6年生ともに全国平均を上回っており、学校や家庭での漢字練習等への取り組みの成果が表れていると考えられます。
 「読む能力」については、6年生は、全国平均とほぼ同じですが、4年生は全国平均を下回っています。学校だけでなく家庭での読書の習慣化を図る必要があります。

算数
 目標到達状況を見ると、4年生の94lの児童が「十分到達」「おおむね到達」の段階にあります。
 6年生の84lは「十分到達」「おおむね到達」の段階ですが、16lの児童が「到達不十分」という段階にあります。
 学年が進むにつれて学習内容が難しくなり、分かる児童と分からない児童の二極化が見られるようになっています。
 高学年では、理解の程度に応じた指導方法の改善を図る必要があります。
 「数学的な考え方」については、6年生が全国平均を下回り、計算問題はできても、文章題は苦手という傾向が見られます。学力検査の時、文章題を解く前にあきらめてしまう児童が多く見られました。
 「読む能力」と「数学的な考え方」には、「文章をしっかり読み、考える」という共通点があります。読む能力の向上が数学的な考え方の向上にもつながります。

町内小学校5校の学力向上への取り組み
円田小学校

・朝の読書(水・木)
・朝の音読タイム
・ドリルタイム(月・金5校時終了後10〜15分間の復習)
・TT指導等の学習支援
・家庭学習の習慣化

 

平沢小学校

・朝の読書(月〜木)
・ぐんぐんタイム(国・算ドリルタイム月〜木朝10分間)
 ※ 校長、教頭、教務も加わり、複数で指導
・家庭学習の励行

 

永野小学校

・朝の読書(火〜金)
・「習熟の時間」(月・火・金5校時終了後15分間の復習)
・計算ドリルと漢字練習
・TT指導(4〜6年算数)

 

宮小学校

・朝の読書(12月〜)
・パワーアップタイム(週1時間)
・少人数指導(算数)
・宮小よい子のやくそく(家庭学習の手引きの作成)

 

遠刈田小学校

・国語の時間(毎回)
・音読を実施
・朝のスキルタイム(百マス計算)
・言語環境の整備
・家庭学習の習慣化

 

中学校の現状と課題
 検査の結果を見ると全国平均よりもまだ低いのですが、前年度よりも差は縮まってきています。
 各校の取組の成果が表れてきているものと考えられます。各教科ごとの分析は次の通りです。

国語
 残念ながらすべての領域で全国平均には達していません。
 しかしながら、「話すこと・聞くこと」では、小領域の「大切なことを整理して話すこと」「場面に応じて適切に話し合うこと」「読むこと」は全国平均に迫っています。
 「書くこと」「読むこと」も同様です。ただ、「言語事項」は低い状況です。様々な文章やことばと出会い、ことばを知るだけでなく意識して「覚え、活用する」ことが必要です。

社会
 全国平均には到達していません。地理よりも歴史の定着度が低く、特に世界の歴史が大きく下回っています。教科書や歴史に関する本を読んだり、テレビの歴史番組を見たりすると、歴史に関する力がつくと思います。
 地理は、おおむね日本の様子をとらえています。地図やグラフなどを使った学習を心掛けることで、さらに向上すると思います。

数学
 全国平均には達していません。特に、「数量関係」を苦手にしている生徒が多いようです。
 また、連立方程式の利用や図形の証明での「無答率」の高さが気になります。つまり、問題を解く前からあきらめてしまう生徒が多いことが分かります。
 文章題は、問題をよく読んでパターンをつかめば決して解けないものではありません。
 まずは、「問題に挑戦する」というあきらめない気持ちをもつことが大切です。

理科
 8つの領域のうち「電流」「物質の成り立ち」「天気の変化」が全国平均を下回っていますが、ほかの5領域はほぼ全国平均に達しています。
 暗記していれば解くことができる問題はできがよく、知識を応用する問題が苦手です。「なぜだろう」という疑問を持ち続けることが大切です。

英語
 英語は、全国平均に達していません。特に、単語や英作文などの「書く」力が劣っています。これらはすぐに身につくことではありませんので、毎日ノートに単語の練習をしたり、英語で日記を書いたりすると力になります。
 英語は積み重ねが大切な教科です。少しずつでもよいので毎日取り組んでほしいと思います。

町内中学校3校の学力向上への取り組み
遠刈田中学校

・毎日「朝の読書」を実施
・家庭学習提出の奨励
・復習確認テストの実施
・数学の授業でのTT実施
・補充学習および発展学習を取り入れた選択教科の実施
・選択教科でのTT実施
・放課後の学習会の実施
・英語検定の実施
・夏季休業日における学習会の実施
・学校、学年だより等における学習意欲の喚起

 

円田中学校

・毎日「朝の読書」を実施
・担任が自主学習をチェック
・復習確認テストの実施
・数学、英語での少人数指導
・補充学習および発展学習を取り入れた選択教科の開設
・英語検定の実施
・全校一斉の漢字検定実施
・夏季休業日における自主学習室の提供と学習支援
・学校、学年だより等における学習意欲の喚起

 

宮 中 学 校

・話し合い、聴き合い、教え合いを取り入れた授業(全教科)
・朝の学習活動(音読、暗唱活動、読書活動)
・家庭学習の習慣化
・復習確認テストの実施
・少人数指導の実施(英語・数学:全学年)
・基礎基本の定着を図った選択教科(数学・英語)
・テスト前の学習会の実施
・漢字コンクールの実施

※ TTとは、チーム・ティーチングの略。複数の先生がチームを組んで、子どもたち一人ひとりの実態に応じながら学習する方法。


遠刈田中学校数学「乗法公式の授業」(学び合いを取り入れた学習)

家庭にお願いしたい事!!

 町の養護教諭部会が実施した平成20年度の生活調査によると、「睡眠時間8時間以上」の小学6年生は80l、「睡眠時間7時間以上」の中学1・3年生も84lで、睡眠時間は十分と言えます。
 朝ごはんもきちんととっており、「はやね・はやおき・あさごはん」を実践している児童生徒が増えています。
 しかし、テレビを見たり、ゲームをしたりする時間は、小学6年生の35l、中学1・3年生の51lが3時間以上でした。
 さらに、中学生の場合は携帯電話によるメールのやりとりに充てる時間も加わります。
 この調査結果を基に、町の小・中学生の一日を考えると、家庭での学習や読書の時間がほとんど確保できない状況にあります。(「町の小・中学生の平均的な一日」参照)
 テレビを見たり、ゲームをしたりする時間を、家庭学習や読書の時間に使えるように、お子さんと一緒に見直してみてください。
問い合わせ先/町教育委員会教育総務課 TEL0224−33−3008

 

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