■質問
昨年の11月に政府は、日本農業の根幹である水田農業の改革、米政策の大転換を打ち出した。40年以上続いた米の生産調整(減反)は5年後を目途に廃止し、同時に生産調整に参加した農家に支給される10アール当たりの交付金が半額の7500円となる。
これまで猫の目農政に翻弄されてきた農業・農村の現場は後継者不足による農業従事者の高齢化、その高齢者のリタイアによる耕作放棄地面積の拡大で、地域の農業生産力が減少するという大変厳しい状況にある。
今般国は、農業の競争力を高め足腰の強い農業にしていく産業政策と、農業・農村の有する多面的機能の維持・発揮を図る地域政策の2つを推進するとしている。町長は今後基幹産業である農業の持続的発展を目指し新政策にどう対応するのか。また農政改革を農業の現場に生かし、足腰の強い農業としてどのような経営モデルを推奨していくのか。

本年度に本換地予定の円田2期地区ほ場
■町長
今日農政を取り巻く内外の環境は劇的に変化し、米の生産調整の5年後廃止が決定したほか、転作補助金の見直しなど歴史的な転換期を迎えている。国が打ち出した新たな農業・農村施策の柱は、農地管理機構の創設や経営所得安定対策の見直し、水田フル活用や米政策の見直しと日本型直接支払制度の創設の4つの改革が基本だが、いずれも現場の実態とかけ離れており、大きな矛盾を抱えたままのスタートと感じる。
まずは最新の情報や動向を農家の方々と共有すべくJAや農政局を招き米の作付説明会や生産調整説明会を開催し、3月には町内全域の農家を対象とした同様の説明会を開催し、鋭意情報の共有を図っている。
今後の日本農政を思慮するとき、重要な点は農業者自身このような国策としての流れを認識することに加え、町の特性を十分に生かした施策の実現であり、蔵王ブランドの確立により他地域との区別化やさらなる複合化、飼料用米の拡大策や6次産業化など財政的な視点も踏まえ、中・長期的な農業支援策に取り組み、将来に希望を持てる農政を推進することが私の務めと意を新たにしている。
■再質問
昨年まで交付されていた10アール当たり15000円が今年から半額になる。経営面積の大きい農家ほど影響を受けるが町の対策は。
■町長
交付金が半額になることで約4000万円の減少と計算している。食農教育として米の食文化を学校給食の場で教えながら、地産地消の施策に取り組んでいきたい。
■再質問
新政策への対応には受け手となる担い手の確保が重要である。町の認定農業者数は107だが、新たな担い手の確保にどう取り組むのか。
■町長
今般国の政策が大きく変わり、国の施策にあった見直しを検討する必要がある。今後出口をどこに見つけ持っていくか、本町の足腰の強い農業を考えていく。
■再質問
農業経営基盤の強化を図るうえで、担い手への集積を進め経営力を高めることが必要でありどう考えているのか。
■町長
本町の担い手への集積率は現在38%である。急な農政転換であり今後、「人・農地プラン」の中で検討し対応したい。
■再質問
米政策の強化とあわせ果樹や畜産、園芸等の他部門の強化も必要であるが、農業の生産力の拡大につながる振興策をどうするのか。
■町長
本町には米や畜産、果樹や野菜などの特産品が12品目ある。それぞれの諸問題に対応しながら農業を継続してもらい、やる気ある姿を出してもらうため町でしっかり支援していく。

今年も豊作が望まれる蔵王特産の梨
|