健康一口メモNo349
流れで診る医療
七ヶ宿町国民健康保険診療所 所長 山本 一博 先生
普段の状態を知り、比べることの大切さを書かせていただきます。いつも診ている先生なら、顔色の変化を見て貧血を見つけるかもしれません。これがかかりつけ医の利点ですが、他の医師に説明するには、客観的なデータが必要となります。
貧血の指標のHb(男性の正常は約13−17)が例えば12の場合、「軽い貧血がありますね」しか言えません。でも1年前が12なら、原因を調べないかもしれません。15ならきっと調べるでしょう。もし昨日15なら、急いで調べます。つまり、同じHb12であっても、以前のデータによって正しい対応は変わってくるのです。胸部レントゲンの昔のものらしい影も、10年前に同じ影があれば「10年前にありますから心配いりません」と説明できます。これを比較の対象(コントロール)と言います。
かかりつけ医にコントロールになるデータを置いておくことは非常に有用なのです。初めての受診が多い救急の現場でも、検診のデータやお薬手帳を持参することがあなたの命を救ってくれるかもしれません。
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