健康一口メモNo281
「適切な入れ歯で、介護と認知症を予防する」
〜入れ歯は昼間の枕也〜

清原歯科医院
院長　清原敏明　先生

　「健康寿命」とは、介護や認知症により人の手を借りることなく、自立した生活ができる期間、つまり「平均寿命」から自立した生活ができない年数を引算した期間を意味します。
　超高齢化時代へと向かう今、平均寿命の延長は然ることながら、要介護や認知症にならずに、いかに「健康寿命の延長」を図り、生涯を全うできるかが大切になってまいりました。
　入れ歯の良し悪しは、噛める・噛めないだけの問題ではなく、健康寿命に大きく影響します。食物を飲み込む時（嚥下時）、私達は必ず上下の唇を閉じます。入れ歯が痛くて噛めない場合、しっかり唇を閉じずに飲み込んでしまうこともあるでしょう。
　これが異常な飲み込みかた（異常嚥下癖）を誘発して、将来「誤嚥性肺炎」を招く可能性もあります。そして、唇を閉じる力（口唇閉鎖力）が強ければ「視力」も良いことが、最近わかってきております。
　また、入れ歯の上下左右の噛み合わせ面（咬合平面）の不良により、「全身の姿勢」や「足裏の体重分圧」の変化を生じ、「気道の狭窄」や「転倒」の危険性を招きます。
　夜間の寝る姿勢（枕・敷布団）により、身体に色々な不調がおきる場合があるのと同様に、昼間使用する入れ歯の出来栄えは、全身の健康状態に直結し、健康長寿の鍵となるのです。皆様方の「健康寿命の延長」をご祈念申し上げます。

休日当番医（内科・外科・歯科）　11月3日〜12月1日