小・中学校学力調査結果報告
   
小学校は“全国平均と同じ”
中学校は“国語が全国平均を上回る”


小学2年生算数の授業「たし算のひっ算」(永野小)

 町教育委員会では、町内の児童生徒の学力の実態を把握するため、平成14年度より、小・中学校の標準学力調査(小4・小6・中2)を継続実施しており、今回(平成24年度)で11回目になりますが、少しずつ学力向上に向けて取り組んできた成果が小・中学校ともに表れてきています。
 また、平成25年度も家庭での様子を知るために、小学5・6年生、中学3年生を対象に、「生活アンケート」を行い、「起床時刻」「就寝時刻」「睡眠時間」「家庭学習時間」「テレビ視聴時間」「ゲーム・携帯メール時間」の調査結果をまとめました。
 児童・生徒の家庭での様子、傾向が分かります。今後、児童・生徒に「どのように働きかけていけばよいか」を考える参考資料の一つとして積極的にご活用ください。

小学校の現状と課題
 各学校で学力向上に向けた取組を考え、工夫した結果、国語・算数ともに成果が表れています。

国語
 平均正答率を見ると、4年生(現5年生)は全国平均と同じで、6年生(現中学1年生)は全国平均を1ポイント上回っています。この結果から、町内児童の国語の学力は全国レベルにあり、これまでの学習の成果が表れていると言えます。
 特に、6年生は「話す・聞く力」「書く力」「読む力」「言葉や漢字」の全項目で全国平均を1〜3ポイント上回っています。また、4年生では「話す・聞く力」と「言葉や漢字」で全国平均を上回ったものの、「書く力」と「読む力」においてやや下回りました。
 国語はすべての学習の基礎になる教科です。各学校では授業の充実だけでなく、言語能力を高めるための様々な取組が行われています。ご家庭でも教科書の音読や漢字練習はもちろん、伝記や古典も含めた幅広いジャンルの読書に親しむことや日記などの文章を書くことは、大変に有効な学習と言えます。さらに、普段の会話の中でも思いや考えを適切に伝え合うなど、言葉を大切にする環境を整えることは確実に力をつけられる方法の一つですので、今後もご協力をお願いいたします。

算数
 平均正答率では、4年生(現5年生)、6年生(現中学1年生)とも全国平均と同じでした。項目別に見ると、計算力においては、両学年とも全国平均を上回り、学校や家庭での取組の成果が表れていると思われます。
 一方、両学年とも理解力が全国平均を下回りました。学校においては、少人数指導や個別指導で、より効果的な指導を試みています。中学校での学習を見据え、学校で学習したことを毎日復習することを大切にさせています。また、どの学年でも、学校で学習したことを日常生活の中で生かせるよう、工夫をしながら家庭学習に取り組むことを大事にさせています。算数科の学習では、「積み重ねの学習」をしていくことが重要だと言われます。規則正しい生活習慣を心がけ、蔵王町の学習の手引きを参考にしながら、根気強く取り組み、児童一人ひとりが力を伸ばせるよう、ご協力をお願いいたします。

町内小学校5校の学力向上への取り組み
円田小学校

●教員の教科指導力向上〔校内研究(言語活動の充実)、模擬授業・研究授業の実施、現職研修の充実〕
●読書の充実〔朝の読書(月・金)、読書ボランティアによる読み聞かせ(月1回)、図書支援員の活用〕
●ドリルタイム(水・木)の実施と評価
●詩の暗唱の継続的な取組(音読集の活用)
●放課後における個別指導の推進と充実(放課後学習室の設置)
●教科担任制の実施(5年社会:教頭、6年社会:教務)
●交換授業の実施(5年理科と6年音楽・家庭科)
●合同授業の実施(音楽・体育・生活科等)
●学習支援員との連携による個別支援
●家庭学習の習慣化(「家庭学習の手引き」の活用、家庭学習カードの活用)
●図書支援員による図書環境の整備
●電子黒板を活用した授業

平沢小学校

●教員の教科指導力向上(算数科の校内研究、模擬授業の実施)
●ぐんぐんタイム(国・算ドリルタイム月〜金、朝の10分間読書・TT指導)
●朝の読書(読書ボランティアによる読み聞かせ協力活用)
●家庭学習の習慣化(「家庭学習の手引き」の活用、家庭学習・音読のチェックカード活用)
●教科担任制(5年社会:教務、6年図工:教頭)
●合同授業(体育・音楽・生活等)
●体験学習の重視(自然の家・総合体験学習等)
●ノーゲームデーの推進(月曜日)
●学習支援員との連携
●図書支援員による図書環境の整備
●電子黒板を活用した授業

永野小学校

●教員の教科指導力向上(校内研究「算数科」における事前・事後検討会や模擬授業、学力向上サポートプログラム事業研修会等)
●朝の読書タイム(火〜金曜日)
●読書ボランティアによる読み聞かせ
●図書支援員による図書環境の整備
●学習習慣の形成(家庭学習の手引き・学習カードの活用)
●金曜日放課後の個別指導(チャレンジタイム)
●教科担任制(4年音楽科・図工科:教頭、5・6年理科:教務)
●学習支援員との連携
●学習環境の整備(昼の全校清掃・掲示物の工夫)
●保護者との個人面談の実施(9月実施予定)
●ございん学習室(水・木曜日)の活用
●図書支援員による図書環境の整備
●電子黒板を活用した授業

宮小学校

●教員の教科指導力の向上(校内研究/国語、ワークショップ型事後検討会、少人数指導/算数)
●児童の学習習慣の形成(よい子の学習ルール・家庭学習の手引き、よい子の約束)
●夏休みお助け塾の実施
●朝の読書、低学年への読み聞かせ(火曜日)
●教育環境基盤の充実(早寝・早起き・朝ごはん、支援ボランティア活用、各種行事の実施)
●教科担任制(3・4・5・6年理科ー教頭・教務)
●交換授業(理科、家庭科)、合同授業の実施
●学習支援員との連携、個別指導の充実
●図書支援員による図書環境の整備
●電子黒板を活用した授業

遠刈田小学校

●教員の教科指導力の向上(校内研究/国語・算数での学力向上、研究授業、ワークショップ型事後検討会、担任による互いの授業参観)
●朝の基礎基本の時間の充実(漢字練習・計算練習など)
●図書ボランティアによる読み聞かせ(月1回)
●教科担任制授業の実施(6年理科:教頭、5年理科:教務)
●複数教員による指導の実施(教頭・教務・学習支援員)
●家庭学習の手引きの作成(系統性のある指導体制・内容)
●「早寝・早起き・朝ごはん」運動の推進
●ノーテレビ・ノーゲームデーによる読書の推進(木曜日)
●合同授業の実施(音楽・体育・総合)
●幼保児小中連携の推進
●職員間での情報共有化の推進(生徒指導などの緻密性)
●図書支援員による図書環境の整備
●電子黒板を活用した授業


※ TTとは、複数の教師が子どもたち一人ひとりの実態に応じながら指導する方法



中学1年生数学の授業「文字式のつくり方」(宮中)

中学校の現状と課題
 各学校では前ページの表にあるような学力向上の取組を行ってきました。町内3校の2年生(現3年生)を対象に、今年3月実施した学力調査の結果は、グラフに示した通りです。今回の学力調査は、前年度までに実施したものと少し傾向が異なり、各教科の基礎、応用がどの程度身に付いているかをみる問題に変更しました。
 5教科の合計点数は、基礎、応用ともに全国平均と比べて低いことが分かりました。教科ごとの点数を見ると、国語は基礎、応用ともに全国平均を上回りました。理科は全国平均をわずかに下回っています。全国平均と比べて、差が見られた内容は、次の通りです。国語は「文法・語句の知識」、社会は「世界の諸地域(アジア)」、数学は「一次関数」、理科は「電流の性質」「物質のなり立ち」、英語は「3文以上の英作文」となっています。すべての教科に共通して、各教科での専門的な用語を身に付け、それがどの場面で使われるかを正しく思考・判断・表現できる生徒を育てていきたいと考えています。
 3校とも、「生活習慣の確立の上に学習習慣の確立がある」という基本的な考えのもと、学力向上を目指した取組を行っています。生活アンケートの結果では、テレビ視聴時間やゲーム・インターネット・携帯メール等をする時間が多く、家庭学習の時間が短いようです。家庭での時間の使い方を見直し、勉強にあてる時間帯、場所、学習内容、学習方法、学習量を自分で決めて実行することが、学力向上の鍵になります。そしてその際、今回の学力調査で浮き彫りになった内容や苦手意識のある分野を繰り返し復習し、バランスの良い学力を身に付けることも、大切な視点です。

町内中学校3校の学力向上の取組
遠刈田中学校

●予習型家庭学習の実施
●全教員による自主学習のチェック
●毎日の「朝の読書」の実施
●「学習補助プリント」の内容の工夫
●「小テスト」「単元テスト」を通して理解度の確認
●複数教員による指導(数学科)の実施
●英語検定・漢字検定の実施
●夏季休業日における学習会の実施
●放課後の学習会の実施(全学年)
●学校だよりや学年だより等での学習意欲の喚起
●「家庭学習の手引き」の活用
●図書支援員による図書環境の整備
●電子黒板を活用した授業

円田中学校

●毎日の「朝の読書」の実施
●担任による自主学習のチェック
●復習確認テストの実施
●数学での少人数指導
●帰りの会前ドリル学習とまとめテストの実施(今年度から毎週)
●漢字検定・英語検定・数学検定の実施
●教職員全員で取り組む校内一斉研修会の実施(昨年度より年2回)
●夏季休業日における自主学習室の提供と学習支援(数学の補習)
●学校だよりや学年だより等での学習意欲の喚起
●「家庭学習の手引き」の活用
●図書支援員による図書環境の整備
●電子黒板を活用した授業

宮 中 学 校

●思考力・判断力・表現力等の向上を目指し、言語活動の充実を図った授業改善
●担任による自主学習のチェック
●毎日の「朝の読書」の実施
●「小テスト」「単元テスト」を通して理解度の確認
●少人数指導(英語科全学年)の実施
●英語検定・漢字検定の実施
●定期テスト前の学習会の実施
●学習支援員との連携(主に数学科)
●学校だよりや学年だより等での学習意欲の喚起
●学習規律の向上を目指した取組
●フリー授業参観の実施
●学力テストの結果分析による学習指導の改善
●教員の授業力向上を図る授業研究会・授業見学会の実施
●「家庭学習の手引き」の活用
●図書支援員による図書環境の整備
●電子黒板を活用した授業

 

家庭にお願いしたいこと

生活アンケートから協力いただきたいこと
 平成25年度の生活アンケートによると、全体的には例年と似た傾向を示していますが、小学生の「睡眠」に関して、やや改善を要する数値が出ているようです。それでは項目ごとに述べてみます。
 「睡眠時間」は、小学生は8時間くらい、中学生は7時間くらいが最も多い結果でした。「起床時刻」は、小中学生ともに6時〜7時の時間帯が多いのですが、ピーク時は少しずつ遅い時間帯にずれています。「就寝時刻」については、昨年度と比較して、中学生の12時以降の就寝が38%から29%に減少しているのに対して、小学生は10時以降の就寝が36%から44%に増加という数値がでています。中学生は改善されていますが、小学生の就寝時刻が遅くなる傾向が認められます。昨年度も留意事項としてこの点を指摘しましたが、心身の発育旺盛な時期を迎える小学校高学年の睡眠習慣が、朝遅く起き、夜遅く寝るという、いわゆる「夜ふかし型」に少しずつ移行していることは、多少なりとも気掛かりなところです。
 「家庭学習時間」は、小学生が1時間〜1時間半、中学生は1時間半〜2時間が最も多い結果となりました。30分未満が半減し、全体的に「家庭学習時間」は増加傾向にあり、良好な数値を示していると言えます。
 「テレビの視聴時間」は、小中学生とも2時間〜3時間が約半数をしめました。「ゲーム・インターネット・携帯メール等の時間」は、小中学生ともに1時間前後が多いようです。昨年度と比較して、「テレビ」は小学生が若干減少、中学生が横ばい、「ゲーム等」は小学生が横ばい、中学生が減少という傾向がみられました。わずかながらも良い方向に向かっているようですが、横ばいを示した項目も減少に向かうよう、今後、家族の語らいの時間や自己の教養を高めるための読書や家庭学習の時間等の必要性を様々な機会を利用して語りかけていきたいと考えています。 やや気掛かりな数値を示した睡眠に関することを中心に述べました。睡眠時間の確保とともに、日付が変わる前に眠ることは、健全な頭脳形成には不可欠なことと言われています。あまり「夜ふかし型」に進まないよう、もう一度「睡眠」の大切さを一緒に考えていきたいものです。


問い合わせ先/各小中学校または、町教育委員会教育総務課 TEL0224−33−3008

 

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