健康一口メモNo264
｢義歯のお手入れ管理について」

広瀬歯科医院　広瀬　清憲 先生

　義歯を装着する目的は、欠損歯とその周辺組織を形態的、機能的に回復させることですが、それに反して義歯の装着に伴って口腔環境が悪化しやすくなる場合があります。
　例えば、義歯装着が原因で生じる義歯性口腔内炎は、義歯に付着したプラーク中の細菌、特に「カンジタ菌」によるものです。
　この汚れ（プラーク）は、口臭や残存歯の虫歯、歯周病、誤嚥性肺炎などの原因にもなります。このため、義歯を清潔な状態で長持ちされることが大切です。毎日の義歯のお手入れと口腔内清掃が大事です。
　一般的に、義歯の汚れの除去には、歯ブラシなどを使う「機械的清掃」と、細部に入り込んだ汚れや細菌を除去するために用いる義歯洗浄剤を使う「科学的清掃」があり、併用するのが効果的です。
　しかし、沈着している歯石やタバコなどのヤニは、完全に取り除くことができない場合もあるので、その時は、かかりつけの先生に相談、診てもらう必要があります。無理に強く磨いたり、削ったりすると義歯自体の変形、破折を起こしてしまいます。
　歯の定期診断が大切なように、義歯の定期健診も大切です。長年、義歯を使っていると人工歯がすり減ったり、残っている歯茎が痩せてきたりしますので、定期健診を受けることで、義歯や残存歯を長く保存することができると思います。

休日当番医（内科・外科・歯科）　6月3日〜7月1日