健康一口メモNo263
｢温泉の医学」

大泉記念病院　内科　矢嶋　幸仁　先生

　温泉と医学についてのお話です。
　昭和23年公布の温泉法では「温泉とは地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス（炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、水温が25℃以上、または含まれる物質として19種類のうち一つ以上が定められた基準値を上回っている。」を定義としています。
　温泉には、温熱作用などに加えて、溶け込んでいる物質の作用も加わって、特有の生理作用が期待されます。水治・温熱療法などに併せてリハビリテーションの他、ストレス解消や生活習慣病予防、健康維持・増進を積極的に行う保養などに利用されます。温泉地の環境（海・山・森）からの効果も無視できません。温泉の刺激に対して、体は防衛反応を起こします（いわゆる「湯あたり」）。この反応を上手く利用すると、体は順応し安定してきます。
　つまり、温泉の刺激で体の変調を起こし、その結果、ストレスで歪みをもった生体リズムや病的状態を正常化させようというのが温泉療養です。ただし、反応を起こす余力を失っている高齢者や患者さんは温泉自体が禁忌となります。また、一般的な入浴時の注意点を守ることも大切です。体調に合わせて上手に温泉を利用したいものです。

休日当番医（内科・外科・歯科）　5月3日〜6月3日